講演者・発表情報

講演者

Jumpei SASABE

笹部 潤平Jumpei SASABE

慶應義塾大学 ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(WPI-Bio2Q)​
専任講師
灘高等学校を卒業し、慶應義塾大学医学部に入学。
医学部卒業後は、内科医として研修ののち、同大学博士過程に進学して、「神経難病とアミノ酸のキラリティの関わり」について研究し、2008年博士号(医学)を取得。その後、Harvard Medical School の博士研究員として渡米し、「アミノ酸のキラリティによる哺乳類と共生微生物の相互作用」を研究。帰国後は、内科医として働きながら、慶應義塾大学医学部専任講師、WPI-Bio2Q Jr PI として、哺乳類におけるアミノ酸のキラリティの機能的意義について研究を続けている。

右と左の分子の世界

右手と左手は、同じ構造だが重ねあわせることはできません。このような性質をキラリティといいます。自然はキラリティにあふれていますが、カタツムリや巻貝の殻の多くは右巻きであるように、どちらか片方の構造に偏っていることが多く認められます。人間の体も例外でなく、一見左右対称ですが、体内では肝臓が右で胃が左に偏っています。このような偏りは、ミクロな世界にも見られ、アミノ酸や糖がその代表です。実際、生命は右手型と左手型のアミノ酸のうち、左手型のみをタンパク質の材料に利用します。一方で、右手型のアミノ酸は生命には存在しないと信じられてきましたが、近年になって、このような左右の偏りは不完全であることがわかってきました。例えば、脊椎動物の中では、哺乳類だけが脳で右手型アミノ酸を利用し、記憶や感情の形成に役立てています。このトークでは、このような常識を覆す左右の分子の世界についてご紹介します。​
Hideto MORI

森 秀人Hideto MORI

大阪大学 ヒューマン・メタバース疾患研究拠点(WPI-PRIMe)​
特任准教授(常勤)
修士・博士課程では、情報学的アプローチを用いて、ゲノム編集や DNA 配列合成を支援する革新的技術の開発に携わった。2023年4月に大阪大学 ヒューマン・メタバース疾患研究拠点に特任准教授として着任し、現在は、同所属の谷内江特任教授と共に、細胞の過去の分子動態を DNA 配列 へと記録する技術「DNA イベントレコーディング」の開発を行なっている。また、最近の生成AIを利用した、DNA配列の設計と合成の自動化のプロジェクトにも取り組んでいる。

対話型AIを用いたDNA配列設計の自動化

近年の合成生物学やゲノム編集分野の発展に伴って、DNA合成の需要は急速に拡大しており、DNA設計・合成プロセスの自動化の実現は今後の生命科学を大きく加速させることが期待されています。しかし、DNA配列設計は、コンピュータの画面上で、研究者ら自身の手によって行われている場合がほとんどであり、手間と時間のかかる作業となっています。さらに、こうした手動によるDNA配列設計は、設計ミスや構築プロセスの記録忘れの誘因となり、遺伝子工学実験全体の再現性や既存のDNA配列リソース利用を妨げてしまいます。本トークでは、我々が開発したDNA構築プロセスの記述、共有を可能にするフレームワーク「QUEEN」と最近の対話型AIを用いた、新たなDNA配列設計の形式を紹介します。​
Akiko OGUCHI

小口 綾貴子Akiko OGUCHI

京都大学 ヒト生物学高等研究拠点(WPI-ASHBi)​
特任研究員
2012年京都大学医学部医学科卒業。腎臓内科学講座に入局。京都市立病院にて腎臓内科医として勤務。2017年京都大学大学院医学研究科腎臓内科学に入学。現在、理化学研究所ならびにWPI-ASHBiにてトランスクリプトーム解析からイメージングビッグデータ解析まで幅広くオミックス研究に従事している。

RNAから切り拓くヒトゲノムの未踏領域

ヒトゲノム計画により、ヒトのゲノム配列が解読されてから、すでに20年以上が経過しました。しかし、“A”, “C”, “T”, “G”から構成される塩基配列が明らかになったものの、それが実際に何を意味しているのか、真の理解にはまだ至っていません。ゲノムの大部分はタンパク質をコードしておらず、こうした非コーディング領域の機能については、十分に解明されていないのが現状です。私たちは、ゲノムDNAから合成されるRNAの研究を通じて、ゲノムがどのように機能しているのかを理解しようとしています。本講演では、非コーディング領域の一つであるエンハンサーと呼ばれる遺伝子発現スイッチに焦点を当て、RNAを通じて見えてくる医学や創薬の新しい可能性を皆さんと共有したいと思います。

高校生ポスター発表要旨

01

こんにゃく糊と和紙を用いた気球素材の開発

京都府立洛北高等学校
02

サボニウス風車の発電量向上へ

大阪府立四條畷高等学校
03

ペットボトルロケットに取り付けた可変翼における最適な翼形状および機体設計

名古屋市立菊里高等学校
04

物体の落下による水面クレーターの形成と水の跳ね上がりについて

大阪府立千里高等学校
05

家庭用工作機械を用いて製作した小型のサイクロ減速機と遊星歯車減速機の製作と比較

洛星高等学校(京都)
06

日本海中部で発生したスプライトの発光形態の解明

静岡県立磐田南高等学校
07

須磨学園 地震マイスターからの提言

須磨学園高等学校(兵庫)
08

伊勢茶を用いた災害対策

三重県立四日市高等学校
09

安全な場所に住むために 〜地震動に強い地盤について新たな指標を用いた考察〜

東京都立日比谷高校
10

効果的な防砂ネットについて

新潟県立新潟高等学校
11

物質代謝モデルを用いた南あわじ市の農業部門の温室効果ガス排出削減対策評価

兵庫県立洲本高等学校
12

感染症への須磨フィジカルディスタンス

須磨学園高等学校(兵庫)
13

運動時のマスク着用が口腔内に及ぼす影響とは -高校生を対象とした実験から考える-

東京都立大泉高等学校
14

アゲハチョウの尾状突起の差異とその役割

兵庫県立兵庫高等学校
15

ミヤマスミレ節、葉が切れ込むスミレ種の分類学的研究

兵庫県立小野高等学校
16

琵琶湖湖底の環境要因がD.purikariaに与える影響

京都府立洛北高等学校
17

ヤマトサンショウウオから考える温暖化による種の保存の問題

岐阜県立岐阜高等学校
18

浸水状態での培養が麹菌に与える影響

東京都立日比谷高校
19

根粒菌による窒素固定のはたらきを可視化する実験の開発

京都府立桃山高等学校
20

都立富士校の生物相調査と環境評価 ー生き物図鑑プロジェクトの成果と展望ー

東京都立富士高等学校
21

人間の利益の為に犠牲になっている生物達と共生する道 〜自作絵本を通じて未来を築いていく世代へと〜

名古屋市立菊里高等学校
22

岐阜市長良川堤防におけるジャコウアゲハとホソオチョウの生存競争について

岐阜県立岐阜高等学校
23

桃山丘陵地域におけるカラスの行動

京都府立桃山高等学校
24

徳島が誇るスジアオノリが秘めた水質浄化作用の可能性 ~窒素固定を利用して硝化菌の有無による検証~

徳島市立高等学校
25

ミジンコの食用化に向けた飼育水と添加物の検討 ー新たな食料としての可能性ー

東京都立富士高等学校
26

卵が使われているレシピにおいて卵の部分のみを植物性食品で代替する方法

お茶の水女子大学附属高等学校
27

香りを持つクロモジ類の分類学的研究

兵庫県立小野高等学校
28

スギナに見られる蛍光成分Ⅳ

静岡県立磐田南高等学校
29

TBA

広尾学園高等学校(東京)

WPIポスター発表要旨

01

NH3検知及び触媒反応を可能とするイリジウム錯体を内包した架橋ドメイン構造を有するハイドロゲルの合成

東北大学 WPI-AIMR 古川 翔一
02

多項式の幾何学ー離れて見るか近づいて見るかー

東京大学 WPI-Kavli-IPMU 原 和平
03

細胞内DNAの折りたたまれ方を細部まで明らかにする

京都大学 WPI-iCeMS 大野 雅恵
04

生体イメージング技術を用いた免疫細胞の動態の可視化

大阪大学 WPI-IFReC 宮本 佑
05

白く、透明にもなる、鉄錆で安全にUVカット

物質・材料研究機構 WPI-MANA 井出 裕介
06

日本での水素社会モデル研究

九州大学 WPI-I2CNER Andrew Chapman
07

Orexin receptor antagonist modulates human energy metabolism during sleep

筑波大学 WPI-IIIS Insung Park
08

土星衛星タイタンにおける炭化水素サイクル

東京科学大学 WPI-ELSI 野崎 舜介
09

Quinones: Molecules for Many Occasions!

名古屋大学 WPI-ITbM Anuphon Laohavisit
10

「光で切る!ライトシート顕微鏡の開発」~顕微鏡を〈作って〉身体の構造を解く~

東京大学 WPI-IRCN 谷口 大相
11

高速AFMによる記憶タンパク質(CaMKII)の一分子観察

金沢大学 WPI-NanoLSI 鈴木 大晴
12

コンピュータが先導する化学反応開発とバーチャル分子を用いた触媒設計

北海道大学 WPI-ICReDD 松岡 和
13

嫌悪条件下でのモチベーション低下に因果的に関与する非ヒト霊長類脳の線条体→淡蒼球経路

京都大学 WPI-ASHBi Jungmin Oh
14

モスアイ構造を施した「クリアに見える」ミリ波望遠鏡で解明する宇宙の歴史

高エネルギー加速器研究機構 WPI-QUP 高久 諒太
15

卵母細胞の休眠状態維持機構に関わる遺伝子の探索

大阪大学 WPI-PRIMe 池田 隆史
16

結び目の対称性とその応用

広島大学 WPI-SKCM2 吉田 建一
17

右と左の分子の世界

慶應義塾大学 WPI-Bio2Q 笹部 潤平
18

謎多き海洋寄生虫生物群・アセトスポラは、いつどこで何をしていて今後どうなるのか?

東北大学・海洋研究開発機構 WPI-AIMEC 矢吹 彬憲